ある晴れた五月の午後のことでした。庭のベンチでくつろいでいた私は、突如として耳元を掠める重戦車のような羽音に驚かされました。そこにいたのは、親指ほどもある巨大な黒い蜂です。全身が煤を塗ったような真っ黒な毛に覆われ、胸のあたりだけが少し黄色い、その圧倒的な存在感に私は息を飲みました。これほど大きな黒い蜂の名前を知らなかった当時の私は、最強の毒を持つ新種のスズメバチではないかと恐怖し、慌てて家の中へ逃げ込みました。しかし、窓越しにその蜂を観察していると、彼女は庭にある古い木材の隙間を熱心に調べたり、ツツジの花から花へとゆっくり移動したりするだけで、私を襲う気配は微塵もありませんでした。気になってこの黒い蜂の名前を調べてみると、その正体は「クマバチ」であることが判明しました。驚いたことに、図鑑には「性格は極めて温厚であり、自分から刺すことはまずない」と記されていました。さらに面白いことに、春先に私たちの周りをしつこく飛び回る黒い蜂の正体は、多くの場合、針を持たないオスなのだそうです。オスは自分の縄張りに近づく動くものすべてをメスかどうか確認するために近づく習性があり、それが人間には威嚇行動に見えていたに過ぎませんでした。黒い蜂の名前を知る前と後では、庭の景色が全く違って見えました。クマバチは枯れ木や木材に丸い穴を掘って巣を作るため、大工バチ(カーペンタービー)とも呼ばれます。彼女たちの仕事は、花の蜜を集めて花粉を媒介することであり、農家にとっては美味しい果実を実らせてくれる大切なパートナーです。もし名前を調べなければ、私は彼女のことを一生「恐ろしい黒い怪獣」だと思い込んでいたことでしょう。無知ゆえの恐怖は、正しい名前という鍵を手に入れた瞬間に、愛おしい隣人への親しみへと変わりました。それ以来、庭で重厚な「ブーン」という音が聞こえてくると、私は「今日もクマバチが仕事に来たな」と微笑ましく思うようになりました。黒い蜂という名前を聞いて、反射的に殺虫剤を手にする前に、まずはその姿をじっくりと見てほしいと思います。太陽の光を浴びたその翅は、時に虹色や紫色の光沢を放ち、自然界の造形美を体現しています。一つの黒い蜂の名前を知るという小さな経験が、私と庭の生態系との距離をぐっと縮めてくれたのです。都会のコンクリートに囲まれた生活の中でも、彼らは力強く羽ばたき、季節を繋ぐ役割を立派に果たしています。名前を呼べるようになることは、その命の価値を認めることでもあるのです。
庭を飛ぶ大きな黒い蜂の名前と温厚な性格の秘密