マンションの管理人として十数年、数多くの物件を見てきましたが、近年増えているコンクリート打ちっぱなしのデザイナーズマンションは、管理の現場から見ると非常にデリケートな存在です。特に住民の方から相談が多いのは、やはりゴキブリの発生ですね。皆さん「こんなに新しいコンクリートの建物なのに、なぜ?」と驚かれますが、管理人として建物全体を観察していると、その理由は明らかです。コンクリート打ちっぱなしの物件は、構造上「水はけ」と「外壁の継ぎ目」に弱点があることが多いのです。一般的な建物はタイルの目地や塗装で保護されていますが、打ちっぱなしはコンクリートの質感を出すために薄い撥水コートだけで仕上げていることが多く、雨が降るとコンクリートが水を吸ってしまい、乾くまでの間、建物全体が湿気を帯びます。この湿気が、ゴキブリやチャタテムシといった害虫を惹きつけるのです。また、デザイン性を重視してバルコニーの排水口を目立たない位置に隠したり、共有廊下の溝を深くしたりしている場合、そこに落ち葉やゴミが溜まりやすく、そこがゴキブリの繁殖源になることが多々あります。管理人の私が行う対策としては、共有部分の清掃の際に、コンクリートのわずかなクラックを見つけたらすぐに補修し、排水溝に薬剤を散布することです。しかし、個人の部屋の中までは管理しきれません。住民の方にお願いしたいのは、まず「玄関の隙間」への注意です。打ちっぱなしの物件はドア枠の取り付け部分に微妙な遊びがあることが多く、そこから虫が入り込みます。市販の隙間テープを貼るだけで、効果は劇的に変わります。また、ゴミ置き場の管理も重要です。打ちっぱなしのゴミ置き場は汚れが目立ちにくいため、生ゴミの汁などが染み込んでしまうと、匂いが染み付いて害虫を呼び寄せ続けます。私は定期的に高圧洗浄機でコンクリートを磨き上げていますが、住民の皆様にもゴミ袋をしっかり縛るという基本を守っていただきたい。コンクリートは強固で永久的な素材に見えますが、実はとても「呼吸」しており、周囲の環境に敏感な素材です。建物全体の風通しを良くし、湿気を溜めないようにすることが、打ちっぱなしマンションでゴキブリに悩まされないための、地味ですが最も確実な方法なのです。私たち管理人と住民の皆さんが協力して、この美しいグレーの要塞を清潔に保っていければと思っています。