家の中でゴキブリに遭遇した時、私たちはその存在そのものに恐怖を感じますが、同時に「一体、この完璧に閉ざされたはずの空間に、どこから入ってきたのだろう」という素朴な疑問を抱きます。その答えを知ることは、今後の侵入を防ぐ上で極めて重要です。ゴキブリは、私たちが想像する以上に優れた侵入のプロフェッショナルであり、ほんの数ミリの隙間さえあれば、いとも簡単に家の中へと忍び込んできます。最も一般的な侵入経路は、やはり「玄関」や「窓」です。ドアの開閉時や、網戸のわずかな破れ、サッシの隙間などは、彼らにとって格好の入り口となります。特に夜間、室内の明かりに誘われて飛来したクロゴキブリが、気づかないうちに侵入するケースは後を絶ちません。しかし、本当に注意すべきは、私たちが普段あまり意識していない「意外なルート」です。その代表格が「エアコン」です。室外機と室内機をつなぐ配管が壁を貫通する部分には、しばしば隙間が生じています。また、室外に伸びるドレンホース(排水ホース)の先端は、外部に開放されているため、ゴキブリがそこから逆流して室内機まで到達し、部屋の中に出てくるという恐ろしい事態も起こり得ます。同様に、「換気扇」や「通気口」も主要な侵入経路の一つです。特に古いタイプの換気扇は、プロペラの隙間から簡単に入られてしまいます。また、キッチンや浴室の「排水溝」も油断できません。下水管を通って上がってきたゴキブリが、排水トラップ(水を溜めて臭いや虫の侵入を防ぐ部分)の水が切れていたりすると、そこから侵入してくることがあります。その他にも、家の基礎部分のひび割れや、宅配便の段ボールに卵が付着していた、など、侵入経路は多岐にわたります。まずは、これらの危険なポイントを一つずつ点検し、ドレンホースには防虫キャップを、配管の隙間はパテで埋めるなど、物理的に侵入経路を塞いでいくこと。それが、見えない敵の侵略から家を守るための、最も確実な防衛策なのです。
そのゴキブリどこから来たの?