日本の豊かな自然の中や、時には都会の公園の片隅で、全身が真っ黒な色をした蜂に遭遇することがあります。多くの人が蜂と聞いて思い浮かべるのは、黄色と黒の縞模様が鮮やかなスズメバチやアシナガバチの姿ですが、実際には黒一色に近い体色を持つ蜂も数多く存在します。その名前を正しく知ることは、過度な恐怖を避け、適切に対処するために非常に重要です。まず、春先にフジの花の周りなどを大きな羽音を立てて飛び回る、丸々と太った黒い蜂の名前はクマバチです。体長は二センチメートルを超え、全身が黒い毛に覆われていますが、胸の部分だけが鮮やかな黄色い毛で覆われているのが特徴です。その圧倒的な存在感と重低音の羽音から恐ろしい蜂だと思われがちですが、実は極めて温厚な性格をしており、こちらから攻撃を仕掛けない限り刺されることはまずありません。オスには針がなく、メスも巣を守る時以外は非常に大人しいため、身近な益虫として親しまれています。一方で、警戒が必要な黒い蜂の名前として挙げられるのがクロスズメバチです。この蜂は体長が一・五センチメートルほどと小柄で、全身が黒っぽく、細い白い横縞が入っているのが特徴です。地方によっては「ヘボ」や「ジバチ」という名前で呼ばれ、食用として珍重される文化もありますが、スズメバチの仲間であるため、巣を刺激すれば集団で襲ってくる危険性があります。彼らは主に地中に巣を作るため、ハイキングなどで気づかずに巣を踏みつけてしまい、刺される被害が後を絶ちません。さらに、細長い体つきをした真っ黒な蜂の名前として、ヒメクロアナバチという種類もいます。この蜂は腰の部分が非常に細く、全身が光沢のある黒色をしており、地面に穴を掘って巣を作ります。単独で生活する蜂であり、人間に対する攻撃性は極めて低いですが、その独特のフォルムは見る者に強い印象を与えます。また、寄生バチの仲間であるコンボウアメバチなども、黒い体色を持つ種類が多く、長い産卵管を尻尾のように引きずって飛ぶ姿が見られます。このように、黒い蜂と一口に言っても、その名前や生態は多岐にわたります。その蜂が丸いのか細いのか、羽音は大きいのか、どこを飛んでいるのかを観察することで、その名前を特定するヒントが得られます。黒い蜂の名前を正しく知ることは、私たちが自然界の多様性を理解し、隣人としての昆虫たちと安全に共生していくための第一歩となるのです。
日本で見かける黒い蜂の名前と特徴