衣類や布団を保管する押し入れやクローゼットは、空気の流れが滞りやすく、湿気がこもりやすい代表的な場所です。そして、その湿気と、衣類の繊維やホコリを餌にして、シミやチャタテムシといった湿気虫が発生しやすい危険なスポットでもあります。久しぶりに取り出した礼服に、銀色の虫が這っていた、などという悪夢を避けるためには、収納スペースの環境管理が欠かせません。まず、基本にして最も重要なのが、物を詰め込みすぎないことです。衣類や布団をぎゅうぎゅうに詰め込むと、空気の通り道がなくなり、湿気が内部に閉じ込められてしまいます。収納量は八割程度に抑え、物と物の間に隙間を作ることを意識しましょう。床にすのこを敷いたり、壁と収納物の間に隙間を作ったりするだけでも、通気性は格段に向上します。次に、湿気を物理的に取り除く工夫です。置き型の除湿剤を四隅に設置するのはもちろんのこと、より効果を高めるなら、吊るすタイプやシート状の除湿剤も併用しましょう。特に布団など、湿気を吸いやすいものを収納している場合は、下に除湿シートを敷くのが効果的です。これらの除湿剤は、水分が溜まったり、ゼリー状に固まったりしたら効果がなくなっているサインなので、定期的にチェックして交換することを忘れないでください。さらに、能動的な換気も重要です。天気の良い日には、押し入れやクローゼットの扉を全開にし、扇風機やサーキュレーターで内部に風を送り込んで、強制的に空気を循環させましょう。数時間これを行うだけで、こもった湿気を一気に追い出すことができます。また、衣類をしまう前のひと手間も大切です。一度でも袖を通した衣類は、必ず洗濯して完全に乾かしてから収納します。皮脂や汗の汚れは、湿気虫の格好の餌になるからです。日々の小さな工夫と定期的なメンテナンスで、押し入れやクローゼットを湿気虫が棲みつけないクリーンな空間に保ちましょう。
押し入れとクローゼットの湿気対策