あなたの家で発見された、たった一個の黒い粒。それは、これから始まる戦いの行方を占う、極めて重要な手がかりを秘めています。兵法で「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」と言うように、まずはそのふんの主がどの種類のねずみなのかを特定することが、効果的な対策を立てる上での第一歩となります。日本家屋に侵入してくる代表的なねずみは、「ドブネズミ」「クマネズミ」「ハツカネズミ」の三種類であり、彼らのふんはそれぞれに明確な特徴を持っています。まず、最も大型で獰猛な「ドブネズミ」のふんは、その体の大きさに比例して、一センチから二センチほどの大きさがあります。太くて丸みを帯びた形状で、色はこげ茶色から黒色をしています。ドブネズミは湿った場所を好み、泳ぎも得意なため、彼らのふんはキッチンのシンク下や床下、下水管の周りなど、ジメジメとした水回りで発見されることが多いのが特徴です。また、一箇所にまとめてふんをする「ためふん」という習性があるため、もし複数のふんが固まって見つかった場合は、ドブネズミの可能性が高いでしょう。次に、近年都市部で最も被害が多いとされる「クマネズミ」のふんです。大きさは六ミリから一センチ程度で、ドブネズミのものより細長く、不揃いな形をしています。色は茶色や灰色がかった黒色です。クマネズミは警戒心が非常に強く、運動能力が高いのが特徴で、壁を登ったり電線を渡ったりして高所に移動します。そのため、彼らのふんは天井裏や屋根裏、あるいは食器棚や本棚の上、カーテンレールの上といった、高い場所を移動しながら排泄されるため、あちこちに散らばって落ちていることが多いです。もし、家の高い場所でパラパラとしたふんを見つけたら、それはクマネズミの仕業であると疑うべきです。最後に、最も小型の「ハツカネズミ」のふんです。大きさは四ミリから七ミリ程度と非常に小さく、米粒ほどの大きさで、両端が尖っているのが特徴です。色は茶色っぽく、非常に小さいことから、虫のふんやゴミと見間違えやすいかもしれません。ハツカネズミは好奇心旺盛で、身軽さを活かして物置や倉庫、あるいは家具の隙間といった狭い場所に好んで巣を作ります。ふんも、そうした活動範囲の周辺で見つかることが多いです。発見したふんの大きさ、形状、そして落ちていた場所。これらの情報を組み合わせることで、見えない敵の正体は浮かび上がってきます。
見つけたふんから敵を知る!ねずみの種類とふんの特徴