それは三月の心地よい風が吹き始めた頃のことでした。我が家のベランダに、二羽のつがいの鳩が頻繁に姿を見せるようになったのです。最初は微笑ましく眺めていましたが、数日もしないうちに室外機の裏に隠れるようにして、小枝が積み上げられているのを発見しました。これが有名な鳩の巣作りかと驚くと同時に、早急に手を打たなければ大変なことになると直感しました。私が最初に行ったのは、とにかく鳩の姿を見るたびに窓を叩いて追い払うことでした。しかし、私が部屋の奥へ引っ込むと、彼らは数分もしないうちに戻ってきます。鳩の忍耐強さは、人間の想像を遥かに超えていました。そこで私は、ベランダの環境を劇的に変える作戦に出ました。まずは、山積みになっていた枝をすべて撤去し、高圧洗浄機でベランダの隅々まで洗浄しました。鳩は一度でも巣作りを開始すると、その場所に対する権利意識のようなものを持ち始めると聞きましたが、まさにその通りで、掃除をした直後から彼らは猛烈に抗議するかのように近くの電柱からこちらを監視していました。次に行ったのは、市販の強力なジェル状忌避剤の塗布です。これを手すりや室外機の上に点々と置くことで、鳩が着地した瞬間に嫌な思いをするように仕向けました。同時に、以前から置いてあった植木鉢や荷物をすべて片付け、鳩が隠れられる死角を徹底的に排除しました。ベランダを吹きさらしの、人間から丸見えの空間に変えたのです。この「丸見えであること」が鳩にとっては最大の恐怖だったようで、数日間は近くまで飛んできては躊躇して引き返すという行動を繰り返していました。最終的な決定打は、ベランダの天井から細いテグスを何本も吊るしたことでした。風で不規則に揺れるテグスは、飛行してくる鳩にとって羽に触れる正体不明の脅威となり、ついに彼らはこの場所での子育てを諦める決断をしたようでした。一ヶ月にわたる攻防の末、ベランダに静寂が戻ったとき、私は深い安堵とともに、自然界の生き物との共生の難しさを痛感しました。