管理が行き届いていない空き家や、住宅の屋根裏といった人間の目に触れない「死角」において、蜂の巣の成長はしばしば驚愕すべき速度に達します。調査事例として興味深いのは、わずか一週間ほど放置された空き家の軒下に、スイカほどの大きさのキイロスズメバチの巣が形成されていたケースです。住民が「先週までは何もなかった」と証言する場合、その多くは嘘ではなく、実際に一日の成長速度が極限まで高まっていたと考えられます。なぜ特定の環境で、蜂の巣はこれほどまでに一日単位で急拡大するのでしょうか。そのメカニズムには、蜂のエネルギー効率と環境要因が深く関わっています。まず、空き家などの静かな環境では、蜂は外敵による妨害を一切受けずに二十四時間体制で造巣作業に没頭できます。人間が頻繁に出入りする場所では、ハチは威嚇や警戒に時間を割かなければなりませんが、死角においてはすべてのリソースを建築と育児に投入できるのです。一日に消費される資材の量は、働き蜂の数に比例して増加しますが、その成長は単なる足し算ではなく、加速度的に進む掛け算の性質を持ちます。一つの階層が完成すれば、そこに産み付けられた卵が次々と孵化し、さらに多くの労働力が供給されるというサイクルが、一日単位で回っているのです。また、屋根裏のように適度な温度が保たれる場所では、建築資材であるパルプの乾燥が非常に速く、層を重ねるインターバルが短縮されます。これにより、屋外よりも格段に速いペースで巨大化が進みます。事例の中には、一日のうちに巣の外壁の模様が三層から四層も追加されていた記録もあり、これは働き蜂たちが交代制で休むことなく作業を続けていたことを示唆しています。さらに、都市部においては街灯の明かりによって夜間も活動を続ける蜂も確認されており、これが一日の成長限界をさらに押し上げています。私たちは自分の視界に入っていない場所で、これほどまでに猛烈なスピードで事態が進行しているとは想像しにくいものです。しかし、蜂という生物にとっての一日は、建築という至上命題を果たすための極めて濃密な時間です。死角に作られた巣が一日ごとに勢力を拡大し、ある日突然、大量のハチが庭に溢れ出すという事態を防ぐには、目に見えない場所で起きている「一日の激変」を常に想定しておく必要があります。
空き家や死角で蜂の巣が一日単位で急拡大するメカニズム