蜂の巣は、一度完成したらそのままの形で大きくなるわけではなく、季節の移ろいと群れの成長に合わせて、その姿を劇的に変えていく種類があります。特にスズメバチの巣の変遷は、生物学的にも非常に興味深い観察対象となります。春、冬眠から目覚めた一匹の女王蜂が最初に作るのは、驚くほど繊細な「初期巣」です。コガタスズメバチの場合、この時期の巣は、逆さまに吊るされたフラスコやとっくりのような形をしており、細い管のような入り口が下へと伸びています。この独特の形状は、女王蜂が一人で子育てをする際、外敵の侵入を防ぎ、かつ保温効果を高めるための非常に合理的な形です。しかし、六月を過ぎ、最初の働き蜂たちが羽化し始めると、巣の形状は「完成期」へと向かって劇的に変化します。労働力が確保されると、それまで一本だった入り口の管は噛み切られ、巣は徐々に丸みを帯びた球体へと膨らんでいきます。内部では、女王蜂が産卵に専念できるよう、六角形の巣板が何層にも増設され、それらを包み込むようにマーブル模様の外壁が塗り重ねられます。最終的には、私たちがよく知る、入り口が横に一つだけ開いた巨大なボール状の巣へと姿を変えるのです。これに対し、アシナガバチの巣は、季節が進んでも基本的な構造は変わりません。ただ、最初は数個だった六角形の穴が、夏が深まるにつれて増設され、円盤状に広がっていくだけです。外壁を持たないため、群れの規模が大きくなっていく様子を、外から直接観察することができます。秋になると、どちらの種類も新女王蜂を育てるための特別な大きな部屋を作り始め、巣としての役割はクライマックスを迎えます。そして冬の訪れとともに、役割を終えた巣は空き家となります。季節の始まりには手のひらに収まるほど小さかったとっくり型の巣が、終わりには子供の胴体ほどもある巨大な球体へと変わるそのプロセスは、蜂という生き物が持つ爆発的な生命力と、一刻の猶予もなく進む時間のリズムを感じさせます。蜂の巣の形が変わることは、そのまま彼らの守るべき資産が増え、危険度が増していくサインでもあるのです。
季節の進展に伴い姿を変える蜂の巣の不思議