仕事の書類や、捨てられない雑誌、大切な本。これらを整理するために、手軽な段ボール箱を利用している人は多いのではないでしょうか。しかし、紙類を段ボールで保管するという行為は、ゴキブリにとってこれ以上ないほどの好条件を提供してしまう、非常にリスクの高い収納方法です。大切な書類や本を、彼らの餌食や住処にしないための対策が必要です。紙そのものが、ゴキブリの餌になり得ます。特に、本の装丁に使われている糊や、紙に含まれるセルロースは、彼らにとって栄養源となります。そこに、隠れ家として最適な段ボールが組み合わさることで、まさに「食住一体」の理想的な環境が生まれてしまうのです。長期間動かすことのない書類や本の詰まった段ボール箱は、彼らにとって静かで安全な繁殖拠点となります。気づいた時には、大切な本が糞で汚されていたり、ページの端がかじられていたり、最悪の場合、本の隙間に卵鞘が産み付けられていたりする可能性もあります。この悲劇を避けるためには、まず、紙類の保管に段ボールを使用するのをやめるべきです。前述の通り、密閉性の高いプラスチック製の収納ケースが最適な代替品です。ケースに入れる際には、一緒に防虫剤や乾燥剤を入れておくと、さらに効果的です。特に、図書館や公文書館などで使われる、無酸性の保存箱などを利用すれば、資料の劣化を防ぎつつ、害虫からも守ることができます。どうしても段ボールで一時的に保管しなければならない場合は、いくつかの予防策を講じましょう。まず、箱の底や四隅に、市販のゴキブリ用毒餌(ベイト剤)を忍ばせておきます。また、段ボールを床に直接置くのではなく、すのこなどを敷いて風通しを良くし、湿気がこもるのを防ぎます。そして、定期的に中身を確認し、虫干しをすることも重要です。あなたの知の財産である書類や本を、無知の害虫から守るために。保管方法という基本的な部分から、リスク管理の意識を持つことが大切です。