家の中で湿気虫が最も発生しやすい場所、それは間違いなく浴室です。常に水があり、湿度が高く、石鹸カスや皮脂といった餌も豊富。ここは彼らにとって、まさに理想的な繁殖環境と言えるでしょう。浴室でよく見かけるピョンピョンと跳ねる小さな虫はトビムシ、壁に静かについている微小な虫はチャタテムシの可能性が高いです。彼らの姿を見つけたら、それは浴室のどこかに汚れが溜まり、繁殖の温床となっているサインです。浴室における湿気虫対策は、日々の入浴後のちょっとした習慣を変えることから始まります。まず、最後にお風呂から出る人が、壁や床全体に冷たい水のシャワーをかけることを習慣にしましょう。これにより、浴室全体の温度が下がり、湯気による湿気がこもるのを防ぐことができます。同時に、飛び散った石鹸カスや皮脂汚れを洗い流す効果もあり、カビや湿気虫の餌を減らすことにつながります。次に、水滴の除去です。スクイージーや乾いたタオルで、壁や鏡、床の水滴をできる限り拭き取ります。これをやるのとやらないのとでは、浴室の乾燥スピードが全く違ってきます。そして最も重要なのが、換気です。入浴後だけでなく、できれば二十四時間、換気扇を回し続けるのが理想です。電気代が気になるかもしれませんが、湿気によるカビや害虫の被害、それに対処する手間や費用を考えれば、決して高くはない投資と言えるでしょう。また、見落としがちなのが、バスタブのエプロン(側面カバー)の内部や、排水口の奥です。こうした場所にはヘドロ状の汚れが溜まりやすく、湿気虫の巣窟となっているケースが非常に多くあります。年に数回はエプロンを外し、排水口も分解して、ブラシで徹底的に掃除を行いましょう。日々の小さな習慣の積み重ねと、定期的な徹底清掃。この両輪で、浴室を湿気虫にとって最も過酷な環境へと変えていくことができるのです。